証券取引等監視委員会とは
Reviewed by Toushi Komons
証券取引等監視委員会とは
証券取引等監視委員会とは、証券取引に関する犯則事件の調査、検査および取引審査をおこなうための行政委員会。
証券取引や金融先物取引等の公正を確保する目的を持ち、1992年7月に「証券取引等の公正を確保するための証券取引法等の一部を改正する法律」が施行されると同時に発足し、当時の大蔵省に設置されたが2001年からは金融庁に属している。
証券取引等監視委員会という名称ではあるが組織としての位置付けは「審議会等」であり、金融商品取引法などに基づいて、毎日の市場の監視・証券会社の検査・インサイダー取引、相場操縦、損失補填などの調査・告発をおこなう。
証券取引等監視委員会の事務概要
- 監視のための5つの事務
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証券取引等監視委員会がおこなう監視事務は、市場分析審査、証券検査、取引調査、開示検査および犯則調査の5つに分かれている。
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市場分析審査:証券取引等監視委員会の情報の入口にあたり、金融・資本市場全体について幅広く情報を収集・分析し、検査・調査に活用。
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証券検査:金融商品取引業者などの業務や財産の状況の検査。この証券検査の結果、問題点が認められた金融商品取引業者等に対して問題点を指摘し改善を求めるほか、重大な法令違反行為等が認められた場合には金融庁長官等に対して行政処分等を求める勧告をおこなう。
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取引調査:内部者取引や相場操縦、風説の流布・偽計等の不公正取引について、金融商品取引法に基づく調査。違反行為が認められた場合、金融庁長官等に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告をおこなう。
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開示検査:有価証券報告書等の開示書類の提出者等に対しておこなう、報告の徴取および検査。虚偽記載等が認められた場合には、課徴金納付命令の勧告をおこなう。
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犯則調査:金融商品取引等の公正を害する悪質な行為の実態を解明し、告発により刑事訴追等を求めるため、犯則事件の調査をおこなう。
- 勧告
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証券取引等監視委員会は、証券検査・取引調査・開示検査・犯則事件の調査をおこなった場合、金融商品取引等の公正を確保するため、または投資者の保護その他の公益を確保するため、その結果に基づき行政処分等を求める勧告や課徴金納付命令、開示書類の訂正報告書等の提出命令の発出をおこなうよう、内閣総理大臣および金融庁長官に勧告ができ、勧告に基づいて執った措置について内閣総理大臣および金融庁長官に対し報告を求めることができる。
- 建議
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検査・調査等の結果、必要が認められるときは、法規制の見直し等の施策について、金融庁長官等に対して建議をおこなう。
- 告発
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犯則事件の調査により犯則の心証を得たときは、検察官に告発をおこなう。
- 裁判所への申立て
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無登録業者による重大な金融商品取引法違反行為(未公開株式やファンドの販売・勧誘等)に対して、裁判所への禁止・停止命令の申立ておよびそのための調査をおこなう。